軽井沢の家に着いたら、必ずと言っていいほど立ち寄るのが浅間牧場茶屋。
牧場と言っても本当の牧場は簡単に歩いていけないほど遠くにあり、ここにはウマやヒツジやヤギ、
ウサギ等が数匹いるだけ。夏休み期間になると結構な人だかりになるが、土産屋は昔からシケている。
特におもしろいものはない。だけど、私はなぜか一度はここに来ないと気がすまない。
毎回同じアングルで大人しくしているアルパカの写真を撮り、濃厚牛乳ソフトクリームを食べ、
メェ~と可愛く鳴かない、オエオエ鳴いて観光客に笑われるヤギを見て薄笑いし、歩いて家まで帰る。
その道のりには2ヵ所のルートがあるのだが、一つは車の往来が多い道の隅っこを「いつか引かれる」と
覚悟しながら歩くルート。もう一つは別荘は建っているものの、誰もいないシーンとした森林を
「熊が出るかも、変人がいるかも」とビクビクしながら歩くルート。
どっちも一人だとイヤなので、浅間牧場にはいつも母と一緒に森林ルートで行く。
「あんた、毎年行ってて飽きないの?なんにもなくてつまんないからお母さん行きたくない」と
言われても「歩かないと太るよ」とかなんとか言って連れ出す。